こんな悩みをお持ちではありませんか?
悪い評判ばかりが先行していますが、家族経営という理由だけで転職先候補から外すのは早いです。中には優良企業もあり、探し当てられれば家族同然に大切にしてもらえるからです。
この記事では、転職先として家族経営の会社を検討するあなたに、家族経営のブラック企業とホワイト企業両方を経験した私の経験から、以下について解説します。
この記事を読むと家族経営の会社を選択肢から外すか残すかの決心がつくでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
家族経営とは?

家族経営の企業とは創業一家が株式の大半を所有し経営を行う会社のことで、同族経営やファミリービジネスともいわれています。
家族経営の企業かを判断するポイントは
企業のホームページ、また、有料になりますが登記簿謄本で確認できます。
国税庁の調査によると、日本の株式会社の96.7%は同族会社であり、中小企業白書によると、中小企業は企業総数の99.7%。
家族経営企業は中小企業や小規模事業者で数多く見られ、業種は建設業や製造業、小売業や飲食業など多岐にわたります。
家族経営の会社が敬遠される理由

家族経営企業は、独裁的や公私混同といったマイナスなイメージが持たれがちです。株主や取締役会に経営権が分散する非同族企業に対し、監査役や労働組合がない家族経営は閉鎖的になるからです。
ただし家族経営企業でも大企業の場合は例外で、親族以外の社員も多く、社外から取締役を招いたり外部の監視があったりと、経営者の公私混同は起こりづらくなります。
また、業務も複数の部署に別れるため社員と経営者の距離が遠く、経営者一族の影響をもろに受けることは少ないでしょう。
対して、家族経営の中小企業や零細企業では決定権が経営者一族に独占されるため、経営に健全さが欠如しやすくなります。
規模が小さく配置転換なども望めないので、経営者一族に気に入られなければ働き続けるのは難しいでしょう。
家族経営の 中小企業・零細企業 | 非同族経営企業 家族経営の大企業 | |
---|---|---|
経営権 | 創業者とその家族が独占 | 株主・取締役会に分散 |
企業文化 | 家族の価値観 | 多様な価値観 |
人事管理 | 家族が中心 | 専門の人事部門 |
経営者側との距離感 | 近い | 遠い |
家族経営の会社にありがちな5つのデメリット

ワンマン経営
家族経営企業では社長が全ての権限を持っています。
経営センスに恵まれ、統率力に優れたリーダーなら問題はありませんが、能力もないくせに自己中心的で横暴な経営者だと最悪です。
周囲にイエスマンをはべらせ、自分は偉いと勘違いして傲慢さはどんどんエスカレート。柔軟さを失い、時代や環境に沿ったアップデートができないどころか、むしろ逆行します。
昨今の働き方改革に反し、コンプライアンスやコーポレートガバナンスなど皆無な超ブラック企業になり果てるでしょう。
ちなみに、私が以前勤務していた家族経営企業の経営者は従業員に対して「雇ってやっている」という考え方でした。いつでも好きなときにクビにできると思っており、日常的に脅しの材料に使っていました。
不満を訴えた方がおかしいと責められ、目をつけられるとネチネチと嫌がらせされるので従業員は何も言えません。
このような企業では、経営方針だけでなく従業員の評価まで経営者の好き嫌いが反映される傾向にあります。たとえ能力が高くても経営者に気に入られなければ昇進・昇格が厳しいでしょう。
お気に入りとそうでない従業員の格差が激しいため社内の空気もギスギスして、従業員はひたすら苦痛を強いられることになります。
身内ばかりを優遇
家族経営企業では身内にあらずんば人であらず、親族にとっては超ホワイト、従業員にとっては超ブラックという格差が起こりがちです。
従業員は薄給、ボーナスは寸志。
一方、親族は高給に加え、経費で高級車を与えられガソリン・税金・車検代も会社もち。家族の外食は交際費、働いていない親族が役員報酬をもらっているなど不公平が当たり前です。
もちろん従業員だって自分の立場はわきまえています。節税対策もあるでしょうし、親族のほうが優遇されるのは仕方がないこと。
しかし、それを十分に踏まえた上で待遇があまりにも悪いので「そんな金があるなら給料上げてくれよ」と不満がたまるのです。
公私混同
家族経営企業では、社長が会社を私物化しがちです。明らかに業務以外の雑用をさせられるなど理不尽が日常茶飯事になります。
かつて私の勤めていた会社では、社長の自宅の庭の草刈りや雪かきも従業員の仕事でした。また、家族が引っ越しするからと休日に手伝いを強要されたこともあります(もちろん無給)
いつ傾くかわからない
家族経営企業では、身内以外の人材の確保や育成がおろそかになり、会社の成長に悪影響を及ぼしがちです。
また経営が保守的で時代の変化に鈍感になり、ニーズを満たせず衰退していく可能性があります。
業績が悪くなったらまっ先にクビを切られるのは身内以外。すると残った従業員にますます負担がのしかかるという悪循環におちいるでしょう。
家族内のゴタゴタに巻きこまれる
家族経営企業では家庭の問題が職場に持ち込まれ、会社で夫婦げんかや親子げんかを始めることが日常的に起こります。
職場の雰囲気が悪化するだけでなく、八つ当たりされたり社員に矛先が向かったりと非常に居心地が悪くなるでしょう。
また、お家騒動や後継者争いなど、家族間の確執に巻き込まれることもあります。このような環境では従業員は常に緊張を強いられ、本来の業務以外で神経をすり減らすでしょう。
家族経営の企業に転職する3つのメリット

経営者との距離が近い
家族経営企業では経営者側の理念を理解しやすい距離にあるため、一体感を持って仕事ができます。自分の業務が会社の業績になるのをダイレクトに目の当たりにできるため、やりがいを感じやすいでしょう。
また、経営のノウハウを近くで学べるチャンスも得られます。自分の持ち場だけではなく経営者目線で働けるのは大手企業ではなかなか味わえない感覚です。
アットホームな雰囲気
家族経営企業の中には、従業員を家族のように大切にしてくれる経営者もいます。
子どもがいる人には急な休みに快く対応してくれるなど、融通が利きやすいでしょう。
私が勤務した別の家族経営企業は社長も奥さんも人格者でした。夫婦以外は従業員2名という小さな会社でしたが、待遇面も会社の雰囲気もよく、息苦しさを感じることはなかったです。
従業員同士の親睦を深めるため、頻繁に食事会や社員旅行などのイベントを設けてくれたりもしました。
ただ、そういう付き合いが嫌な人には近い距離感が苦痛になってしまうかもしれません。
気に入られればかわいがってもらえる
家族経営企業では、経営者の感情が評価に反映する傾向にあるため、気に入られれば役職がもらえたり給料を上げてもらえる可能性があります。
過剰にこびを売る必要はありませんが、嫌われても損をするだけなので、良い関係を築けるよう努力しましょう。
家族経営の企業が健全かを見極める3つの方法

家族経営企業への転職は当たりはずれが大きいものの、絶対NGというわけではありません。中には優れた経営者もおり、優良企業なら転職してよかったと思えるでしょう。
転職前には家族経営かどうかだけでなく、健全な経営がされているかを判断することが大切です。
以下で見極めるポイントを解説します。
離職率を確認
転職先候補が決まったら、その企業の離職率を調べましょう。離職率が高い企業は、従業員が冷遇されている、雰囲気が悪いなど、何かしらの問題がある可能性があります。
いつも求人募集が出ている企業などは要注意です。
会社の評判を調べる
離職率と併せ、会社の評判についても確認してください。
口コミサイトやSNSを利用したり、周りに同じ業界内に知り合いなどいれば、評判を聞いてみるとよいでしょう。
面接で実際の雰囲気を確かめる
面接は会社の雰囲気を肌で感じられる絶好の機会です。
を落ち着いて観察してください。
また、内定をもらったら入社前に就業規則を確認しておきましょう。
家族経営の会社に入社後ブラックだと分かったら退職一択

「入ってみたらやっぱりブラックだった!」
入社した会社がブラック企業だと判明したら、あなたのすることはただひとつ、速やかな退職です。
「だけど、すぐ退職すると職歴に傷がつくんじゃないかな…」
不安を感じるかもしれませんが、ブラック企業ならすぐに退職しても不利にはなりません。
転職時に退職理由をきちんと説明すれば、むしろ同情してもらえるでしょう。
まちがってもそこで「もう少しだけガマンしよう」などとは考えてはいけません。ブラック企業で働くということは忍耐や努力でどうにかなる問題ではないし、どんな理不尽も繰り返されれば従業員は飼いならされてしまいます。
自主性を失い、限界を超えたことにも気づかず、ある日突然取り返しのつかいない状況になってからでは遅いのです。
転職活動をまた一からやり直すのは勇気がいりますが、失敗は経験だと割り切り次のステージに進みましょう。
いつか必ずあなたが生き生きと働ける職場が見つかるはずです。